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庭園日記

「 覚え書き 」

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2025.07.09 Wednesday 02:06

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「容易なるもの」への問い

2009.02.28 Saturday 15:54

まずは最近話題の、宮下誠『カラヤンがクラシックを殺した』(光文社新書)からの引用

「「大衆」とはいわば自分の努力のなさ、向上心の欠如、金銭を最高の価値としてあがめたてまつる拝金主義、他人の不幸を隠微に喜ぶ底意地の悪さ等々を棚上げして、ささやかな幸福に満足し、その価値観の下、自分に理解できないものを仮借なく排除し、或いは価値切り下げを断行し、才能を、或いはアウラを突出した人間から掠め取り、食い物にしその残骸を「お友達」感覚で賞味するという、恐ろしい生き物になっていた。」p64

「クラシックという「装置」をいわば一般化、大衆化、普遍化したカラヤンの音楽によって私たちは決定的に間違ってしまったのではないか?」p83

次に斎藤孝『座右のニーチェ』(光文社新書)からの引用

「今日本では、多くの人が自分にとって気持のいいものだけを受け入れ、不快なものは排除したがる。好きなものに囲まれる暮らしは適度に快適だが、表面的な快不快だけで判断すると、自分を脱皮させてくれるようなとてつもない美や価値観と出会うこともない。」p181

確かに、例えばピカソの名画「ゲルニカ」を観て、「分からない」の一言で済ませる人は多い。バロック、古典派、戦後の音楽に関心を持つ人は確実に少なくなり、作品に厳しさ、力強さ、逞しさを求めることは少なくなってきたのかもしれない。カフカの『城』も忍耐強く読み解く人はいないだろうし、ジョイスの畢生の名作『フィネガンズ・ウェイク』は手を着けられることすらないかもしれない。「楽しませてもらう」という受け身ではなく「こちらから読み解く」姿勢を持つ鑑賞者がどれだけいるだろう。
 ともかく、バッハやパーセルの崇高な音楽に耳を傾けると、ルサンチマンなど自然に解消されるのではないだろうか。

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神話への回帰

2009.02.27 Friday 17:16

 ギリシアでは哲学(=Philosophy)が誕生するよりも早く神話(=Myth)が先にあったらしい。

 思想ではなく神話。

 「神話」という人間の想像力の起源。ゴダールやジョイスは双方とも神話を題材としているが、恐らく神話の持つ普遍性へと魅入られたのだろう。「神話」をモデルにすることでより高次な(あるいは純粋な)作品を生み出す。秩序を失った、ロマン主義の再来であるともされる現代にとって、神話の助けがより求められる時代になったのではないだろうか。ユング派の心理学者・河合隼男も「ソウル・メーキング」という手法で神話を読むことを提案している。

「エヴァ」&サブカル批評書籍まとめ

2009.02.22 Sunday 13:23

宇野常寛『ゼロ年代の想像力』(ハヤカワ書房)
東浩紀『動物化するポストモダン』『ゲーム的リアリズムの誕生』(講談社現代新書)
佐々木敦『絶対安全文芸批評』(INFASパブリケーションズ)
大瀧啓裕『エヴァンゲリオンの夢』(東京創元社)

 「文学の時代に終わりが近づき、アニメや漫画にとって代わられる」議題のサブカル評論たち。

 大瀧の『エヴァンゲリオンの夢』はエヴァのスノッブ面での種明かしといった内容だ。それによると、オープニングの「残酷な天使」は堕天使ルシファーを指しており、初号機の12枚の羽根は新たなる神話を作るルシファーを示すものらしい。意外なところでは監督がセフィロートの樹の解釈を間違えており、本来立体図像であるセフィロートの樹が劇場版では平面になっているとのこと。
 「エヴァ」の映像面ではヴィスコンティ、ゴダール、寺山修司、実相寺昭雄等がモデルに使われている。エントリー・プラグのデザインは同時代のアニメ・SF作品ではなく現代美術の作品にそのまま同じものがあるらしい。
 他にも映画『2001年宇宙の旅』『ツイン・ピークス』の影響もあるようだ。

小説を書くための作品リスト(仮アップ・随時修正)

2008.10.16 Thursday 12:03

別ブログ『黒い稲妻とキャッスルロックの庭園』連載予定の小説作品用のリスト

ミルトン『失楽園』
天使が題材となると古典中の古典。堕天使ルシフェルが見事キャラクター化されている
バニヤン『天路歴程』
キリスト教文学の古典。聖書を読んだあとに読めばなお味が増す(らしい)
ダンテ『神曲』
天使といえば神曲。地獄~煉獄~天国へと道を辿る作者にして主人公のダンテ
ゲーテ『ファウスト』
劇中ではメフィストの正体がサタンであると魔女に指摘されている
エーコ『薔薇の名前』
天使とは直接関係ないが、中世の修道院を舞台にしたキリスト教を巡る推理小説
庵野秀明(GAINAX)『新世紀エヴァンゲリオン』(アニメ)
天使ブームの発展に一役買った、アニメというジャンルで表現された新たな文学。社会現象として度々取り上げられることもあった、資料としても価値の高い作品
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