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庭園日記

「 本 」

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2025.05.06 Tuesday 13:46

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ウンベルト・エーコ『フーコーの振り子』(文春文庫)

2009.07.07 Tuesday 17:24

 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』の広告に「ネブカドネザルの鍵」「ヴァチカン条約第○○条」といった宗教的なキャッチフレーズが書かれていたそうだが、この手の宗教・神秘主義の知識を楽しむにはやはり『フーコーの振り子』が面白い。テンプル騎士団、ホムンクルス、賢者の石、薔薇十字団、グノーシス、カバラ、聖杯といった宗教のスノッブがずらりと並べられていて、知識を楽しんでいくだけでもう読み終えることが出来る。
 『ダ・ヴィンチ・コード』と趣向が似ているように見えるが、エーコの方はもっとジョークやユーモアをこめてフィクション(=作り事)の前提で宗教を語っているため、それほど宗教関係者の間で取り沙汰されることもなかったのでは? 良心的な方だと思う。
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宮下誠『カラヤンがクラシックを殺した』(光文社新書)

2009.03.02 Monday 12:43

 カラヤン以降、クラシック音楽が美しさ(もちろん、それ以上の形容も可能)ではなく目先の聴き易さ、アミューズメントを提供する商業芸術となりつつある。それが現代社会の精神的風土の退廃に繋がっている。
 よく誤解されるが、非難の言葉として使われる「ロマン主義」はロマン主義的なものを指すのであってワーグナー等の固有名詞を直接示しているのではない。同じくこの本でのカラヤン批判にも当てはまる。
 確かに強烈な、冬のように厳しい音楽に触れることで、より世の中の現状を深く考えることも出来るかもしれない。ただ、それはけして作曲者やジャンルではなく、「徹底して自らの手で芸術を選び取る」ことから始まる。

U.エーコ『薔薇の名前』(東京創元社)

2009.02.22 Sunday 14:00

 「前衛エンターテインメント作家」、ウンベルト・エーコ。
 『薔薇の名前』はヨーロッパ中世の修道院にて殺人事件が起きる推理小説。多くの小説作品からパロディを負っている。
 例えば主人公の名探偵と名推理にうなずく助手の二人の取り合わせは『シャーロック・ホームズ』のワトソンとホームズだ。冒頭の推理は18世紀啓蒙主義の作家ヴォルテールの『ザティク』(最古の推理小説と呼ばれる)からそのまま使われている。ダンテ『神曲』を意識したきらびやかな文体や、ボッカッチョ『デカメロン』と同じく毎日起きた事件を日記調に綴るなど手法面ではもちろん、主人公たちが侵入する修道院の図書館の構造もボルヘスの描いた架空の図書館をモデルにしている。

 エーコの優れたところは、ジョイスやボルヘスの前衛小説を娯楽として上手に消化しているところだと思う。

森博嗣『スカイ・クロラ』(中公文庫)

2008.09.16 Tuesday 17:12

 ようやく『スカイ・クロラ』読了。森博嗣の小説はまずエンターテインメント作品として完成している。そしてそれをさらにアート指向の設計に持っていっている。なるほど、アート指向のエンターテインメントという点ではプログレに位置付けが近い。佐藤亜紀の『バルタザールの遍歴』を読んだときと同じ感覚がする。ふたつともとても健全な作りだ。ゲーテもシェイクスピアもそうだが普遍的な芸術作品は、完成していることが条件だと思う。

詩人ペソア

2008.09.10 Wednesday 18:55

 最近、ペソアというポルトガルの詩人の詩集を見つけました。ポルトガルの文学は日本の翻訳では少ない気がします。詩の特徴としてはカフカ同様、作風が無色透明で影響を受けた文章のルーツが分からないところでしょうか。
 さて、その詩集から一節抜粋。

 「完璧であるためには 存在するだけでよい」p51(澤田直訳)

 ……最近これを痛烈に感じます。青年期を迎えている若者には大事な言葉です。
 
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