カラヤン以降、クラシック音楽が美しさ(もちろん、それ以上の形容も可能)ではなく目先の聴き易さ、アミューズメントを提供する商業芸術となりつつある。それが現代社会の精神的風土の退廃に繋がっている。
よく誤解されるが、非難の言葉として使われる「ロマン主義」はロマン主義的なものを指すのであってワーグナー等の固有名詞を直接示しているのではない。同じくこの本でのカラヤン批判にも当てはまる。
確かに強烈な、冬のように厳しい音楽に触れることで、より世の中の現状を深く考えることも出来るかもしれない。ただ、それはけして作曲者やジャンルではなく、「徹底して自らの手で芸術を選び取る」ことから始まる。
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