たまには評論ばかりでなく小説執筆の話題もしたい。
私は、どちらかというと小説より脚本・劇台本の方が読んでいて楽しい。『ファウスト』のようなレーゼドラマ(※実際に上演しない読むためだけの劇台本)も気に入っている。もちろん、詩も好きだ。
むしろ私の頭の中では詩+小説=劇なのだ。詩を台詞にして物語という軸に配置していく。例えば、シェイクスピアなどは韻文を歌い上げるように台詞にしている(私は事実、台詞とシーンを先に考えた方が物語が浮かび易い)。
なおかつ物語は定番のスタイルを採っている方が安心して読める。例えば、『ファウスト』は悪魔と契約を果たし若返った魔術師の物語、『ハムレット』は父親を殺害された王子の復讐劇といったようにスタンダードなプロットである。
『フィネガンズ・ウェイク』(前衛小説の金字塔)は一見すると定番どころか、それと正反対の混沌とした小説(この作品は果たして小説なのかと私には決めかねるが)に思える。しかし、その内容をシンプルに要約することは実は可能である。あの作品は単純なものを複雑なものに展開しているだけなのだから。
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