前回は作品内の仕掛けを読み解くことを話した。こうした細かい仕掛けを読み解く力が着くと、面白い/つまらないの二面的な評価から一旦抜け出て、客観的な基準を持てる。
よく誤解されるけれども、これは論語の「これを学ぶものはこれを好むものに然ず、これを好むものはこれを楽しむものに然ず」と矛盾していない。
そして、これを審美的に無意識で出来るのが一番作品を楽しめる。なのでここでは、作品の脈絡と背景を気にせずに作品を読んで欲しい。既に作品は読者の手に渡った時点で解釈は読者に委ねられているのだから。
そして、読み解く楽しさを孕む作品は再読に値する。優れた作品は一冊の本に喩えられる。最初は難しくて当たり前だから気にしなくていい、繰り返し繙こう。難しい本とは解釈が多様である。