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庭園日記

芸術作品一般を扱うブログ

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宮下誠『カラヤンがクラシックを殺した』(光文社新書)

2009.03.02 Monday 12:43

 カラヤン以降、クラシック音楽が美しさ(もちろん、それ以上の形容も可能)ではなく目先の聴き易さ、アミューズメントを提供する商業芸術となりつつある。それが現代社会の精神的風土の退廃に繋がっている。
 よく誤解されるが、非難の言葉として使われる「ロマン主義」はロマン主義的なものを指すのであってワーグナー等の固有名詞を直接示しているのではない。同じくこの本でのカラヤン批判にも当てはまる。
 確かに強烈な、冬のように厳しい音楽に触れることで、より世の中の現状を深く考えることも出来るかもしれない。ただ、それはけして作曲者やジャンルではなく、「徹底して自らの手で芸術を選び取る」ことから始まる。
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「容易なるもの」への問い

2009.02.28 Saturday 15:54

まずは最近話題の、宮下誠『カラヤンがクラシックを殺した』(光文社新書)からの引用

「「大衆」とはいわば自分の努力のなさ、向上心の欠如、金銭を最高の価値としてあがめたてまつる拝金主義、他人の不幸を隠微に喜ぶ底意地の悪さ等々を棚上げして、ささやかな幸福に満足し、その価値観の下、自分に理解できないものを仮借なく排除し、或いは価値切り下げを断行し、才能を、或いはアウラを突出した人間から掠め取り、食い物にしその残骸を「お友達」感覚で賞味するという、恐ろしい生き物になっていた。」p64

「クラシックという「装置」をいわば一般化、大衆化、普遍化したカラヤンの音楽によって私たちは決定的に間違ってしまったのではないか?」p83

次に斎藤孝『座右のニーチェ』(光文社新書)からの引用

「今日本では、多くの人が自分にとって気持のいいものだけを受け入れ、不快なものは排除したがる。好きなものに囲まれる暮らしは適度に快適だが、表面的な快不快だけで判断すると、自分を脱皮させてくれるようなとてつもない美や価値観と出会うこともない。」p181

確かに、例えばピカソの名画「ゲルニカ」を観て、「分からない」の一言で済ませる人は多い。バロック、古典派、戦後の音楽に関心を持つ人は確実に少なくなり、作品に厳しさ、力強さ、逞しさを求めることは少なくなってきたのかもしれない。カフカの『城』も忍耐強く読み解く人はいないだろうし、ジョイスの畢生の名作『フィネガンズ・ウェイク』は手を着けられることすらないかもしれない。「楽しませてもらう」という受け身ではなく「こちらから読み解く」姿勢を持つ鑑賞者がどれだけいるだろう。
 ともかく、バッハやパーセルの崇高な音楽に耳を傾けると、ルサンチマンなど自然に解消されるのではないだろうか。

神話への回帰

2009.02.27 Friday 17:16

 ギリシアでは哲学(=Philosophy)が誕生するよりも早く神話(=Myth)が先にあったらしい。

 思想ではなく神話。

 「神話」という人間の想像力の起源。ゴダールやジョイスは双方とも神話を題材としているが、恐らく神話の持つ普遍性へと魅入られたのだろう。「神話」をモデルにすることでより高次な(あるいは純粋な)作品を生み出す。秩序を失った、ロマン主義の再来であるともされる現代にとって、神話の助けがより求められる時代になったのではないだろうか。ユング派の心理学者・河合隼男も「ソウル・メーキング」という手法で神話を読むことを提案している。

ポスト・エンターテインメントジャンル

2009.02.27 Friday 16:53

 『新世紀エヴァンゲリオン』以降のアニメ/漫画作品に見出せる思想性。ライトノベルの「セカイ系」文学も勿論だが、アニメと漫画が残した遺産である、物語世界の構築(俗に言うところの「世界観」)、キャラクターという記号、作品の量産性・大衆性は別の芸術分野へ還元出来るものかもしれない。

映画評論を読む

2009.02.22 Sunday 17:39

 村山匤一郎『映画史を学ぶクリティカル・ワーズ』(フィルムアート社)を読んだ。ゴダール本人の著作『映画史』も示唆に富んだ内容で、「映画」というジャンルの定義を考える教科書らしい。
 ここのところサブカル批評を趣味の範囲で調べたが、文学や美術・古典音楽などのインテリ層の親しむ芸術への対抗文化が漫画・アニメだったのだろうが、その役割をするにはまだ到達点ではないと思う。
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