プログレにせよヱヴァにせよエーコにせよ、ポストモダン作品は基本的に鑑賞者に「読み解きの権利」を与える。普段何気なく観ることで流していた描写などはよくよく理解すると重要な演出であってその意味もまた読み解く余地がある。特にヱヴァとエーコはエンターテインメントというジャンルで以って鑑賞者をその謎解きへと誘い込み、要するに、娯楽目的で作品を観る鑑賞者を知識の世界へと関心を持たせるわけだ。エーコは公衆という読者を見事に理解してかのベストセラー『薔薇の名前』を作り上げた(同作者による『フーコーの振り子』のアヴァンギャルド性については後述)ので、私のように無知な読者でも経験するあの知識の海はエーコによって計算尽くで、商業性と芸術性を見事に両立させてしまった。
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