読み解く技術を知ることにしたならば、まずは理論を知るとよい。自分のなかで曖昧模糊としたものが既に先人の手で開拓されたものと知るだろう。
そしてそれから、なるべくならばその手法を具体的に作品と照らし合わせて読むことだ。これは作品制作へと役立てられる。つまり、読む側の立場をよく理解すること。これは読者を想定するだけでなく、作品に客観性を持たせ、自分の作品がより洗練される。
そして最大の利点は作中へトリックを仕掛けられることだ。間テクスト性、開かれた終り、メタフィクション、異化、反復……こうした要素が作品を際立たせる。
以上が、良質な作品に触れることで私の得た知識である。私があくまで本質的に書き手ではないことを断っておきたい。