引用だけで全てが成り立つ小説作品の代表としてJ.ジョイス『フィネガンズ・ウェイク』が挙げられる。
この作品には膨大な種類の注釈が可能であり、それだけ不可解な引用を多く残している。その内容は極めて難解で、大体の作品コンセプトを把握できれば十分であるから実際に日本語訳を読むより解説書を通読することを勧める。引用という技法には批評を展開する効果がある。これにはオリジナリティの否定が思想の根底として流れており、またオリジナルとは引用でこそ発揮できるという証明でもあるのだ。
「引用」という現代文学の手法は確かに追求すると面白い。漫画だと岡崎京子の『リバーズ・エッジ』が引用の宝庫らしい。
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